インフルエンサーの暴走を止めるのは誰か
新時代の強者の名は、インフルエンサー。
どうも、うねうねです。
今回は、着物界隈を激震させているキム・カーダシアンさんの補正下着ブランド炎上について、個人的に思うところを書きました。
1万字を超えました…狂気。忙しい人は読まないで大丈夫です。
最初に断っておきますが、バキッとした明確な結論みたいなものは書いてないです。だらだらとした問題定義と思考の記録になってます。
なぜならこの問題はまだ解決しておらず、今後の展開を注視している状態です。
7/1時点でキム氏から"KIMONO"名称変更の発表があったとはいえ、まだ波乱がないともいえません。
また、これは着物業界だけでなく、この先他のジャンルでも起こりうる問題だと思います。
着物なんて興味がないし…と思う方は「着物」の部分を「あなたが大好きな何か」や「あなたが守らなければならない何か」に置きかえて考えていただけたら幸いです。
趣味の何かかもしれないし、仕事の何かかもしれない。人や場所かもしれないし、形のないものかもしれない。
頭に浮かんだ何かを思い浮かべながら読んでみてください。
※一部おふざけめいた表現がありますが、長文を書くために必要な息抜きです。不適切と思われる方もいるかもしれません。すみません。先に謝りますのでご容赦ください。
- 海外セレブが自身の補正下着ブランドに”KIMONO”と命名
- 炎上騒動の流れ
- ”KIMONO”問題における論点
- インフルエンサーの影響力は諸刃の剣
- 信用社会のリスク
- 日本市場が弱いという意味
- 騒ぐことと主張することの違い
- インフルエンサーの暴走に直面した時にするべきこと
- 炎上という災害に備えるために
- 着物が好きだから
海外セレブが自身の補正下着ブランドに”KIMONO”と命名
皆さんは6月末から炎上を引きずっているこのニュース、ご存知でしょうか?
米タレントのキム・カーダシアン氏が自身の補正下着ブランドを”KIMONO
”と命名し、"KIMONO"をアメリカで商標登録を申請している件です。
下着ブランド名に「キモノ」、日本文化への侮辱と批判が殺到 米タレント / BBC
アメリカのタレント、キム・カーダシアン・ウェストさんが25日に発表した自身の矯正下着のブランド名に「キモノ」という名称を使用し、日本の伝統的な着物を侮辱しているとして物議を醸している。
カーダシアン・ウェストさんは、矯正下着「キモノ・インティメーツ」について、「女性の体型や曲線を称え、引き立たせる」としている。
しかしソーシャルメディア上では、矯正下着ブランド名に「キモノ」を使用することは、伝統的な着物を軽視しているとして、多くの日本人が反発している。
SNSで抗議の声が拡がり、このBBCの記事を皮切りにその後もたくさんのメディアに取り上げられ、現在は国内国外を巻き込んだ議論となっています。
キム・カーダシアンって誰??
補正下着の名前がなぜキモノ????
日本の端っこで細々と趣味着物を楽しんでいる私にとっては、まさに晴天の霹靂とも言えるニュースでした。
炎上騒動の流れ
キム・カーダシアン氏の新ブランドが発表されてからの大まかな流れは下記の通りです。
補正下着と”KIMONO”のミスマッチなイメージも相まって、瞬く間に批判や疑問の声が広がっていきました。
< 7/6時点での流れ >------------------------------------------------
6/25 キム・カーダシアン氏が"KIMONO"という名前の補正下着ブランドを発表。"KIMONO"をアメリカで商標登録申請中。
↓
SNSを中心に批判が殺到。日本の着物文化の盗用、商標登録の問題など。
↓
商標登録について専門家の分析記事によると、
- 商標登録はまだ通った訳ではなく、現在審査中
- 商標は下着類について申請しており、通ったとしても日本の「着物」をKIMONOとして米国で販売することに対して、これらの商標権の効力が及ぶことはない。
- ”KIMONO”の標準文字での申請は拒絶されており、ロゴ図形での申請を新たに出している
- KimonoのほかKimono Body、Kimono Intimates、Kimono World、などを商標申請している。正式に商標登録が済んでいるのは「Kimono Solutionwear」。
- 米国だけでなく、EUでも商標登録出願中
また、
- 実は1年前に商標登録を申請した際にすでに同じ批判を浴びており、そういった反対の声を押し切ってのブランド立ち上げだった
- 過去に別件の文化の盗用で炎上したこともある(コーンロウのヘアスタイル等)
↓
6/27 批判を受けてキム氏が声明を発表。
- 『kimono』という言葉を伝統衣裳を示す際に使うことを排除したり、制限したりするものではない
- ブランド名は変更しない
↓
6/28
- 京都市が「KIMONO Intimates」社にブランド名再考の旨文書を送ったと発表
- 経済産業省の世耕弘成大臣がTwitterでこの件について言及
- キム・カーダシアン氏が表紙を飾るVOGUE8月号が発売(補正下着ブランドについてはインタビュー記事の中に記載有)
↓
7/1
- キム・カーダシアン氏がブランド名の変更を発表
- ただし、商標登録の取下げや取得済みのkimono.comドメイン等については言及していない。新ブランド名については近日中に発表予定とのこと。
7/2
- 京都市がコメントを発表
- 経済産業省の世耕大臣がTwitterで言及、7/9に特許庁担当者をアメリカへ派遣予定
- 署名運動ページが一旦終了。発起人が今回の署名をユネスコ無形文化遺産登録に使用すると取れる発言をして物議に。→署名の流用はないと謝罪文を発表
7/4
補正下着のブランド公式アカウント(Instagram、Twitter、kimono.com)は閉鎖されています
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もっと個々の詳細を知りたい方は下記記事をご確認ください。
▶︎詳細情報についてはこちらの記事にまとめてます(随時更新中)
情報まとめ記事の方には、あえて私の個人的な考えなどは入れずに出来事のみを並べるようにしたつもりです。
私も自分の考えをまだ模索中です。
もし興味を持ってもらえたのなら、この出来事から何を思うか、自分なりに考えていただけたら嬉しいです。
”KIMONO”問題における論点
今回の”KIMONO”問題、人それぞれ引っかかるポイントが違っていて、反対している人の中でも主張内容が様々でした。
主な論点としては、 以下の3点。
- 商標登録による経済的な損失
- 日本の伝統や文化への侮辱、文化の盗用
- ”KIMONO”が下着のイメージになることへの懸念や嫌悪感
1. 商標登録による経済的な損失
ビジネス面で問題となっていたのは、商標登録について。
"KIMONO"という名称について、アメリカで商標登録の申請を行っているということ。(EUでも申請中)
商標登録が通ってしまえば、
「アメリカで"KIMONO"という名前を使って商売ができなくなるのでは?」
「”KIMONO”という名前を使うと訴えられる可能性が出てくるのでは?」
という危険性を指摘する声が多くみられました。
上述した専門家の分析記事によると、
- 商標登録はまだ通ったわけではなく、現在審査中
- 商標は下着類について申請しており、通ったとしても日本の「着物」をKIMONOとして米国で販売することに対して、これらの商標権の効力が及ぶことはない。
- ”KIMONO”の標準文字での申請は拒絶されており、ロゴ図形での申請を新たに出している
また、キム自身も
「KIMONO」の商標登録については、「私が手がける矯正下着やブランドでその言葉を使うことを許可するためのものですが、それは、例えば誰かが着物を作ることや、『kimono』という言葉を伝統衣裳を示す際に使うことを排除したり、制限したりするものではありません」としている」
とコメントしています。
しかしながら、申請されている分類の下着やかばん類を販売する際には、上記の危険性が出てきます。
また、標準文字が申請拒絶されたら、次はロゴ文字で申請を出すという粘り強さです。あの手この手で今後も商標登録を試みるかもしれません。
それにキム氏が「制限しない」と言っていても、彼女のさじ加減次第でどう転ぶか分からない危険性があります。
7/1時点で、キム氏からブランド名変更の発表があったため、"KIMONO"の名称は不使用になりそうですが、申請中及びすでに取得済みの商標についてどうするのかは言及されていません。
今後も引き続き動向を見守っていく必要がありそうです。(今は台風の目に入ったようなステイ状態、、、もうひと波乱来そうで怖いです)
また、キム氏の商標取得の件が解決したとしても
- 別の誰かが商標登録したらどうするのか?
- 日本国内、海外ですでに別件で取得済みの商標はどうなのか?
- 今回のようなケースを防ぐために一番有効な策はなんなのか?
まだまだ考えることが山積みです。脳みそがショート寸前。
商標について専門知識がない私は、ググって情報読んでウンウン唸るだけで答えがはっきり分からない状態です。
できれば専門家に丸投げしたいけど、丸投げしたボールが誰にも受け取られずに空を切ることも容易にイメージできるので、どこに投げたらいいんだかわかりません。
今後の対策を考えて対応しないと本当の問題解決にはならないと感じていますし、私レベルが思うくらいなんで、もっとシビアに感じてる人もいると信じたい。
専門家集めて有識者会議でも開いてくれないかなー。
受け取って!業界のひと!
2. 日本の伝統や文化への侮辱、文化の盗用
”KIMONO”と名付けた謎とモラルの欠如
ふだん着物を着る人も着ない人も、一個人、一企業が他国の民族衣装の名称を商売道具にするのはどうなの??って所に反応した人は多かったです。
「それって(法的に、もしくは社会的に)許されるの?」
「海外ではモラルみたいなもんは通用しないの??」
私もシンプルになんで???と思いました。
海外セレブが自分の商品に"KIMONO"なんてわざわざつける理由、、全くもって見当がつかなかったし、今でも理解できていません。
キム・カーダシアン氏の商品コンセプトに"KIMONO"と共通する概念でもあるのかと思ったけど、むしろボディラインを強調するという逆方向のイメージに見えます。
謎オブ謎。
誰かコナン君呼んできてくれ。
なので、ブランドに込められた思いとかコンセプトに"KIMONO"でなければならない理由や、日本の着物に対する考えなどが見当たらなかったため、こっちを理解することは半分断念。
で、今のところ自身の名前"Kim"をもじっているということしか、"KIMONO"である理由が見つからなかった…。
私の頭の中のふざけた部分が
ジャイアン的な「お前のものは俺のもの」でキムノモノ…キモノ?
っていう妄想までしてしまいました。
彼女は日本に何度か来日しているし、"KIMONO"という商標を取る以上、日本の着物について知っていたはずです。(むしろ炎上が起こる可能性=宣伝まで考えてた説もありますが)
しかし、海外でも一般名になっている日本のKIMONOに対して敬意が感じられず、自分のモノとして独占権を取りに行ったことが「日本の伝統や文化」に対しての侮辱という声に繋がったのではないかと思います。
(そもそも"着物"は日本の伝統や文化なのか論までいくと長くなるので、この記事では割愛します。)
文化の盗用
今回の件で、キーワードとなった「文化の盗用」という言葉。
- 文化の盗用とは
cultural appropriation
文化の私物化。他民族の文化をその文化に縁のない他者が表面的に借りて表現すること。
参考:cultural appropriation(文化の盗用)の意味は? | ネイティブと英語について話したこと
KIMONOイコール補正下着と刷り込み 米国セレブは「ブランド名を変えるつもりない」と宣言 (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)
私は恥ずかしながら今回の件が起きるまであまり深く意味を知らなかったのですが、国際社会ではたびたび問題となる出来事が起こっているようです。
ついこの前、アリアナ・グランデがタトゥーの件で炎上していましたが、凡人な日本人の私は「文化の盗用」という言葉にあまりピンときていませんでした。
どうやら海外で「文化の盗用」が批判されやすいのは、その言葉の裏に人種差別の背景、マジョリティがマイノリティを搾取する構図が関係しているようです。
記事引用:
音楽であれ、ファッションであれ、彼らの強いアイデンティティとプライドを礎とする文化が、いったん白人の目に触れると横取りされ、かつ商品化がおこなわれて利益は白人側に流れた。アイデンティティ、プライド、経済利益を揃って奪われてしまうのである。黒人が白人に対し、文化の盗用を訴える理由だ。
(中略)
要するに、文化の盗用は異なる人種民族間で起こるというより、力を持ったマジョリティから、搾取されてしまう弱いマイノリティに向けておこなわれるのである。マイノリティにとってさらに苛立たしいのは、盗用・搾取する側のマジョリティは自身の行いがマイノリティを傷付けていることに気付かず、「それ、いいね」くらいの、ごく軽い気持ちでやってしまうことだ。
日本人が知らないアリアナ・グランデ「文化の盗用」批判の背景とは | 文春オンライン
アリアナ・グランデに対しては、そんなに騒がなくても…と思った私ですが、今回のキムの件は話のレベルが違いすぎて、ようやく文化の盗用について当事者として考えるようになったわけです。 (はじめはこの問題について「文化の盗用」という言葉を使うのが適切かどうかもわからなかった…恥)
特にビジネスが絡むという点で、他国の文化を借りてきて利益を得るさまが「文化の盗用」に当たるという主張がようやく理解できました。
3. ”KIMONO”が下着のイメージになることへの懸念や嫌悪感
”KIMONO”の文字とビジュアルのインパクト
多くのインターネット・デジタルネイティブ世代が感じたんじゃないかと思うのが、この嫌悪感。Instagramヘビーユーザーなら尚更、背筋が寒くなる感覚があったのではないでしょうか。
特にスキンカラーでボディラインを強調した写真のビジュアルインパクトは凄かった。日本人が思う"キモノ"のイメージとはあまりにもかけ離れていたため、この写真の横に"KIMONO"の文字が並ぶことへの違和感が強かったように思います。
インターネットから"キモノ"が消える日
調べたいことがあるならまずは検索。情報はすべてインターネッツの世界にある。
そんなググレカス時代を過ごしてきた私は、検索してもそこに情報が出てこない場合はどうしたら…?と海外の人に問われた時に、きっと即座に答えることができません。京都市長みたいにジャパンへ来いよ!と言えるほどネイティブ皮肉をかます力もありません。
その代わりに、インターネットのブラウザ検索の100ページ目までが肌色の画像で埋め尽くされている場面や、Siriに聞いてもアレクサに聞いても「キモノとは補正下着です」と言われるイメージが次々と頭に浮かびました。
たしかに大げさかもしれません。キム氏のブランド名が"KIMONO"になったからといって、日本の着物が実際に消えることはないかもしれません。
だけど、検索で見える世界は確実に変わる。
これがどこまで、人の認知や海外での着物の購買に影響を与えるのかは、正直なところ妄想の範囲を超えません。
今すぐに影響があるのか、もしくは10年後100年後にも影響があるのか、それとも大した影響はないのか。
わからないからこそ怖いと感じたのかもしれません。
ネット世代の同時代性
ちょっと話は逸れますが、ぐるぐる考えているうちに、この前読んだ漫画に出てきた"同時代性"という言葉を思い出しました。
「重版出来!」という漫画編集者のお話なのですが、中堅の編集者が自分が担当するつもりだった企画を新人に譲ったエピソードがありまして。その譲った理由について、
「知識や情報は、ネットでいくらでも更新できる。しかし同時代性ってのはムリだ。センスはあいつらに勝てない。」と話すシーンが印象的でした。
詳細は省きますが、若い人がSNSを使うことは知識として知っていても、複数垢の使い分けのような使っている肌感覚までは同じ時代を生きていないとわからないってことです。それが"同時代性"。
キム氏の件で、某和装団体の方はじめ、年配の方の多くは「そんなに騒ぐほどのことか?」と思われていたようです。
私はそういった方達にも、「大したことはない」とバッサリ切り捨てずに、少しだけでも下の世代の”同時代で共有されている感覚”について思いを馳せてほしいのです。
デジタルネイティブ世代が感じた違和感や怖さ。
これはたぶんまだ言語化されていない感覚なのかもしれません。私がTikTokの良さを理解できないように、その世代を生きる人にしかわからない感覚があります。"着物が下着のイメージになる"と不安を覚えた人の感覚を軽視しないでほしいと思います。
インフルエンサーの影響力は諸刃の剣
ここから先は、着物だけじゃなく今後各方面で現れる"インフルエンサー"について考えたことです。
影響力は善にも悪にもなる
今回の件は、"KIMONO"という名称をビジネスのために使用したことから問題が起こっていますが、これだけ話題になった原因は、それをやろうとしたのがケタ外れの世界的インフルエンサーだったのが大きいです。
- 一家揃って超絶セレブな実業家
- アメリカでの知名度の高さ
- SNSのフォロワーが億越えの影響力の持ち主
ONE PIECEで言うところのグラグラの実の能力者みたいなもんです。世界を滅ぼす力。(例えが微妙ですいません)この能力が"白ひげ"から"黒ひげ"に移ったことで世界はさらに混沌を極めましたよねー。
つまり、
世界に影響を及ぼすほどの力を誰がどう使うのか?
影響力の使い方によっては善にも悪にもなる
と言う話です。
VOGUE8月号によると、キム氏は自身の影響力を生かして人々を啓発したいと話しているし、実際にアメリカでトランプ大統領に働きかけてアリス・ジョンソンと言う受刑者の刑を軽減したエピソードがあるそうです。
社会が良くなる方向に使うなら、影響力はポジティブな力だと思います。
ただ、逆の方向に使えば、とてつもない脅威であるのも事実です。
今回はたまたまそれが"キモノ"に向けられたわけですが、これは単にインフルエンサー時代の序章に過ぎないと思ってます。
今後もっと違う場面で、もっと悪質な目的でその影響力を使う人物が現われる可能性も十分にあります。
日本のインフルエンサーでワーキャー言ってられるうちは平和でしたよ、ほんと。
世界でインフルエンスを行使できる人がこんなに厄介だとは。
キモノ界が洗礼を受けて、はじめて気づきました。
信用社会のリスク
インフルエンサーと共に語られるのが信用社会。個人や企業の"信用"で評価が決まる時代。
インフルエンサーも支持者からの"信用"が大きな力になっていますが、それに対して反対意見を表明する人にも自分の"信用"をジャッジされるリスクが伴います。
それってつまり、信用を担保にする立場にいる人ほど発言しにくい状況になるのではないでしょうか。
大統領だって人気商売みたいなもので、信用をなくすと選挙で勝てません。選挙的なアピールでインフルエンサーに迎合することもありえます。
不用意な発言をして、信用に傷がつくリスクもあります。特に炎上案件には、火に油を注ぎたいだけの人達が寄ってきますので、うっかり巻き込まれると損をしてしまうかもしれません。
今回の"KIMONO"問題、思った以上に着物業界からの"明確な主張"が出てこなかったことが不思議でした。
静観していた方達が、どういう思いでこの件を見ていたのかは私には分かりません。(実際言及している人も限られていたので)
直接自分のビジネスとは関係ない、微妙な問題が絡んでいるから迂闊に発言できない、そこに時間を使うより本業を粛々とやる方がいい…このくらいの想像しかできませんが。もしくは見えないだけで、水面下で動いている方がいるのかもしれません。
個人的には、いろんな考えの人がいることは当然で、そこを変えることもできないので、絶望するわけでもなく世の中そういうもんだと思ってます。
ただ、多様な意見があるのは仕方ないとしても、静観の立場をとった人の割合がちょっと多い…偏ってるんじゃないかなとは感じました。
一方で動きが早かったのは、直接ビジネスに利害関係がないユーザーです。SNSでの反対コメントや署名運動、議論も活発にかわされていました。信用の影響範囲が狭い個人の方が動きやすい状況だったということです。
ただ、一般人がインフルエンサーの対抗馬になるためには、とにかく数を力にするしかありません。数を作るためには、スピード、主張の分かりやすさ、感情を動かす表現が必要になり、それが悪い方向に逸れると情報が錯綜し意図しないトラブルが発生するリスクもあります。
間違った情報やあらぬ方向への飛び火が広がる「伝わることのリスク」と、
この件が問題として認知されない「伝わらないことのリスク」があって、
どちらを重視するかで行動が分かれたのではないかと思います。
ただ、どちらかを選択した場合にも、もう片方のリスクを抱えることは忘れちゃいけないなと痛感しました。(署名運動の内輪モメの件もありましたし…)
いずれにせよ、信用社会なんてもので、本来なら反対意見を通せる力のある人達が黙ってしまう結果になるのはなんだかモヤモヤします。
そういう方達がみんな黙ってしまった場合、一般人の不安定な行動にコトの結末を委ねることになるのは、ものすごく脆弱性を感じてしまうのです。
日本市場が弱いという意味
弱い弱いと知ってはいたけれど。
残酷なほど日本市場はキム氏の眼中にはないんだなと思い知らされました。日本で何か批判が起こったとしても売上に影響がないから問題ない、そう考えられてたんじゃないでしょうか。
他の国で同じようなコトをできたでしょうか。例えば中国で。欧州で。
日本の市場なんてあってもなくても変わらない、経済的な面で影響が小さいと判断されると、こういう理不尽な扱いを受けることになるんだなと学びました。
・・・はい、これはただの憂いでした。
(もう疲れてきて書くのがしんどくなってきてます…)
騒ぐことと主張することの違い
怒りを表現することが苦手な日本人
これはもろ私のことなんですが、怒りを外に出して表現することが苦手です。感情的に煽るような表現もできません。どちらかというと、冷静に淡々と話をしたい派です。
ただ、海外に向けてとなると話は別です。
日本も多少なりとも歴史の中で、きちんと主張をしないと相手の言い分を認めたことになるというケースを目撃しているはずです。
炎上になった今回の騒動は、野次馬も手伝って騒ぎすぎと感じた方もいると思います。(罵詈雑言をぶつけたいだけの人がこんなに湧いてくるんだなと感心しました)
それぞれ温度差はあるにせよ、「これは問題だ!」と怒りを主張に変えて外に示すことは重要だと思います。
日本人的にはイヤな世界ですが、声の大きい方の意見が通りやすい、というのも事実です。
騒ぎすぎ、と揶揄するのはそれこそ個人の自由ですが、主張しないことで起こるリスクも同時に胸に留めておいて欲しいところです。
外野のみなさんからの後出し批評は鈍く心を削られますね。この文章もそんな感じではありますが…。
インフルエンサーの暴走に直面した時にするべきこと
ここまで9000字くらいダラダラ書いちゃって、ほんと頭どうかしてると思うんですが、本当に大事なのは今後の対策だと思うのです。
インフルエンサーが暴走してそこに反対の意を唱えたくなった時、どうすればいいのか。今回気づいた点は下記の通りです。
- まず相手を知る
- 事実として起きていることを整理する
- 一旦自分の中で考えて意見を決める
- 主張したいことがある場合はより有効な手段を選ぶ
- 表立って行動できる人を支援するという手もある
- 本筋と関係ない暴言は控える
- カオスな状況でのミスを責めない
- ミスがあればその後きちんと対処する
- 他人の考えや行動は変えられないので期待しない
- ベストな方法が見つからない状態でも関心を寄せることには意味がある
- 傍観者にもリスクがあると認識する
本当は一つ一つもっと説明したいんですが、体力と気力と時間の限界…。
あとは各自で考えてくれ。
ともあれ、他人の意見や行動の裏には、その人がそう考えるにあたって何を経験してきたのかが関わっています。大事なものや守りたいものも違います。
違う人生を生きているのだから、同じ共感を得ることはできないと思って割り切った方がラクです。
極論、みんな好きにすればいいって話になりますが、それでも、もしアクションを起こしたくなった時に今回の経験が生かせればいいなと思います。
炎上という災害に備えるために
ちょっとこの件が収束している風なムードになってますが、まだ終わったわけではありません。
日本という狭い世界で細々と楽しく生きていければいいと思ってる人にも、炎上という災害が降りかかることが証明されたわけです。
まさに地震か津波かレベルの、足元をひっくり返されるような出来事です。
もうかなり息切れ気味ですが、今後に向けてやっておくと役立つかも…と思ったこともいくつか書いておきます。(後から思いついたら足します)
- 海外との接点を持っておく
- 非言語の表現手段(写真・動画・絵・図解など)を持っておく
- 時事ニュースや国際問題にも自分事として最低限の知識を知っておく
- 事実を読み解く力と、自分の意見を考える力を持っておく
- 野次馬の雑音を気にしないスルー力を持っておく
今回の件で反応が早かったり、すぐに自分の意見を表明出来ていた人を見ると、上記のような共通点があったように思います。
そして私が自分に不足している力だなと感じた部分でもあります。炎上に備えるという意味でも、ポジティブな意味で海外に向けて発信する時にも役に立つことではないかと思います。
今後に向けて何ができるか考えていきたいところです。
着物が好きだから
ここまで書いておいて今更なんですが、実はこの件で私が一番不安に感じたことは、"KIMONO"問題の論点であげた3つではなく、
「キモノの情報を求めている人が、その情報にたどり着けなくなるかもしれない」という点でした。
これは私が地方住みで着物を趣味にした経験からくるものです。
リアルな情報が身近にない、飢えていた着物初心者時代に一筋の光となったのがInstagramの存在でした。
参考:いま、オシャレな着物人を探すなら断然Instagramです - うねうねうねる
2015年のあの頃、Instagramに出会って少しだけ世界が開けた気がしました。
今回のニュースで、その世界が閉じてしまうのかと思うと無性に悲しくなりました。あの頃の私のような人が、情報を探しづらくなるかもしれない。それを止める力もない。
ただ、ニュースを見ているしかできない状況は、歴史ある建造物が無情に壊されていくさまに似てるなと、長崎の老舗料亭、富貴楼が無くなったケースとダブりました。
あの時は事実を知ったのが手遅れすぎて何もできなかったけど。
そんな思いがあり、今回は自分の考えの方向性も定まらないまま中途半端だけど情報を追って、自分のできることを考えることにしました。
私にとって着物は現在進行形のリアルクローズ。
伝統や文化のベースは確かにあるけれど、今後も進化していくはず!と勝手に信じている魅力的なファッションです。
ここまで書いても書き足りない。
私は変態なのかもしれない。
こんなに着物が好きだったなんて。
まとまらない文章 をここまで読んでくださったあなたもきっと変態です。
ありがとうございます。
もし何か思うところが1ミリでもあったなら、この問題に少しだけ関心を寄せてもらえたら嬉しいです。
私はたぶんまだまだ、考え続けます。
キム氏の新ブランド名はどうなるのか、商標登録は取り下げられるのか。
この記事タイトルの問いの答えはまだ見つかっていません。
完全解決まで、引き続きお付き合いいただけましたら幸いです。
#KimOhNo
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【追記】
その後、キム氏の補正下着ブランド名は変更され、「SKIMS」になりました。